エンプロイアビリティという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
employ(雇用する)+ability(力)なので、雇用する力になりますが、一般的には企業ではなく、従業員の「雇用される力」のことを指します。
終身雇用の時代ように1社だけですめば良いですが、現代の環境は転職が当たり前になっています。つまり1社だけではなく他の会社でも雇用される力=エンプロイアビリティを伸ばしていく必要があるのです。
なぜエンプロイアビリティが大切なのか、また、エンプロイアビリティを高めるためにどうすべきかも後半で説明をしていきます。
エンプロイアビリティとは?

「エンプロイアビリティ」とは、個々の労働者が、変化する労働市場の中でも雇用機会を確保し、雇用を継続できる能力を身につけることが重要という考え方です。
知識ではなく、仕事を通して得たコミュニケーション能力や考える力専門知識などを深めていくことがエンプロイアビリティを高めることになります。
エンプロアビリティの種類
エンプロイアビリティには時代の移り変わりでも変わらない「絶対的エンプロアビリティ」と流行により変わる「相対的エンプロイアビリティ」、企業内で評価されるかどこでも評価されるかの「内的エンプロイアビリティ」「外的エンプロイアビリティ」という種類に分けることができます。
絶対的エンプロイアビリティ
絶対的エンプロイアビリティとは、時代の流れに左右されず安定して特定の仕事を獲得できるスキルです。医師や弁護士などITやロボットでも代替不可能な職種になります。
もちろん医師や弁護士などの職種ではなくとも「営業スキル」や「コミュニケーションスキル」は時代が変わろうとも必要なスキルです。このような絶対的エンプロイアビリティを身につけるのことにより時代に流されない働き方ができるでしょう。
相対的エンプロイアビリティ
相対的エンプロイアビリティとは、時代の流れやその時の流行で需要や必要性が左右されるスキルのことをいいます。労働市場のバランスや技術の発展などによりスキルの価値が上下します。時勢をよんでこれから必要なスキルを身に着けていくというのも1つの選択肢です。
内的エンプロイアビリティ
内的エンプロイアビリティとは、その企業での評価を高めて雇用され続けるスキルです。企業にはそれぞれの独自の文化があります。その企業ならではのノウハウや専門知識を身につけることが大切です。
内的エンプロイアビリティを高めることによりリストラ回避や出世などその会社でのキャリアを築くことができます。
外的エンプロイアビリティ
外的エンプロイアビリティとは、どの企業に行っても通用するスキルです。外的エンプロアビリティを高めるには社会人基礎力やポータブルスキルを伸ばすことが大切です。
社会人基礎力とは2006年に経済産業省が提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」という3つの能力が該当します。
ポータブルスキルとは「持ち運びができる」スキルのことでコミュニケーション能力、問題解決能力、リーダーシップ能力などがあげられます。
これらの社会人基礎力やポータブルスキルを伸ばしていくことで外的エンプロイアビリティを高めていくことが可能です。
なぜエンプロイアビリティが重要なのか
仕事はAIに奪われる?

最近は生成AIの技術の進歩が目まぐるしいのはご存知のことかと思います。綺麗な画像をAIが生成していたのがついこの間でしたが、今は映像にまで広がっています。
2020年頃、私は別の記事で下記のような言及をしました。
2015年に野村総研が発表した資料によると、「一般事務」「オペレーター」「清掃員」などの単純労働者や「鋳物工」「NC旋盤工」「めっき工」などのような職人の仕事は人工知能やロボットに取って代わるという結果が出ました。
一方、無くならない仕事は「ディレクター(映画監督含む)」「ミュージシャン」「カウンセラー」「保育士」「ライター」「デザイナー」などです。
つまり、単純労働ではなく、絶対に人を介さないと出来ない仕事(カウンセラーや保育士)、人の情緒に訴えかけるような仕事(ディレクター、ミュージシャン、ライター、デザイナー)が必要になります。
参考: 日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~
今はChatGPTを始めとしたツールで記事を生成することも可能です。デザインすることも可能です。9年前の調査を超える時代になってしまっているのです。
※ライターに関しては厳密には「コピーライター」「シナリオライター」「スポーツライター」「フリーライター」
野村総研の調査よりも早いスピードで技術が進歩する現代。AIやロボットに取って代わられないようなスキルを持ち合わせておくことはこれからの時代を生き抜くために重要な能力です。
より条件の良い仕事に就ける
今の会社でより高いポジションを目指すのであれば内的エンプロイアビリティを高めていく必要があります。独自の知識やノウハウを身につけることにより評価され、より良い条件のポジションにアサインされるでしょう。
だし、環境変化に伴い企業のリストラが進んだ場合、せっかく内的エンプロイアビリティを高めても企業が亡くなってしまえば意味がありません。
外的エンプロイアビリティが高いということはどこの会社でも活躍できるということなので、今の会社に留まるだけではなく、有利に転職活動を進めていくことも可能です。
大切なことは今の会社でも活躍できる内的エンプロイアビリティも高めつつ、何が起きても対処できるように外的エンプロイアビリティを同時に伸ばしていくことです。
エンプロイアビリティを高めるには?
それでは、ここからはどうしたら自分のエンプロイアビリティ(雇用される能力)を上げていくかを説明していきます。
ポータブルスキルを磨く
外的エンプロイアビリティでも触れたポータブルスキルを磨くことがエンプロイアビリティを高める一番の方法です。
ポータブルスキルとは主に下記のスキルです。
コミュニケーション能力
問題解決能力
リーダーシップ能力
プロジェクト管理能力
ポータブルスキルについて知りたい方はあわせてこちらの記事も参考にしてください。
仕事の考え方を変える
まず仕事の考え方ややり方を変えてみることから始めてみましょう。
あなたは単純作業の仕事を繰り返しを続けていませんか?
単純作業であれば、あなたがやる必要はないのです。そんな仕事はロボットや時給の低いアルバイトで十分です。でも、考え方を変えれば、単純作業の中にこそ工夫のヒントは隠れているはずです。
例えば、テレアポをひたすら書け続けているとしましょう。電話かけては断られる繰り返し。単純作業な上に断られるという心理的負荷を伴います。多くの人は工夫をし、どうすればより話を聞いてもらえるかを考えます。
でも、本当に大切なことは「目標達成」です。そのマインドで仕事をすれば、行動も変わり(例えばそのやり方がテレアポではないのかもしれない)、より良い方法で施策を実施できるでしょう。そのような考え方を持つことがエンプロイアビリティを高めていくことになります。
まとめ
今回は「エンプロイアビリティ」について解説しました。
自分でエンプロイアビリティが高いかどうかを判断する基準は、もし、貴方が社長になったら、貴方を雇いますか?の質問に「YES」と答えられるかどうか、それに尽きると思います。
ロボットやAIが人の仕事をする時代はもう来ています。1日も早く、よりエンプロイアビリティを高める努力をしていかなければいけませんね。
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