どんな仕事をするにおいても、他人とのコミュニケーションは必要ですよね。「あの人は苦手」「あの人は話しやすい」などどうしても出てきてしまいます。
では、なぜ「あの人は苦手」になるのでしょうか。その苦手な人とは仲良くなることは出来ないのでしょうか。今回はコミュニケーションの一つの理論について説明をしていきます。「苦手なあの人」とのコミュニケーションの役立ててみてください。
ソーシャルスタイル診断の概要
ソーシャルスタイル理論は、アメリカの産業心理学社デビッド・メリル氏が提唱しました。ソーシャルスタイル理論は、個人が異なるコミュニケーションスタイルを持つことを認識し、それらのスタイルを理解するために提唱されました。
これらのスタイルを自己主張の強さと感情の豊かさからグルーピングし、「エミアブル」「エクスプレッシブ」「エミアブル」「アナリティカル」の4タイプに分類をしています。
それぞれのタイプを理解することが円滑なコミュニケーションを取るヒントとなります。
ソーシャルスタイルの4タイプ
エクスプレッシブ (Expressive)
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- 直感主義者で、感情や直感に基づいて行動します。
- 社交的で人懐っこく、コミュニケーションが活発です。新しいアイデアや機会に対して熱心に取り組みます。
- 情熱的でエネルギッシュであり、人々を引き付ける力があります。一方で、短気な一面も見られるかもしれません。
エミアブル (Amiable)
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- 感情主義者で他者との関係を重視し、協力的で思いやりがあります。
- 優しい、穏やかで親しみやすい性格を持ち、他者とのコミュニケーションが円滑です。人々に対して信頼を与えることができます。
- 衝突を避け、環境を安定させることを好みます。他者の感情やニーズに対して敏感で、支援的な役割を果たすことがあります。
アナリティカル (Analytical)
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- 思考主義者で、論理的で分析的なアプローチを好みます。
- 慎重かつ冷静に情報を評価し、合理的な判断を下します。細部に注意を払い、計画的なアプローチを取ります。
- 問題解決においては客観的であり、情報の正確性と信頼性を重視します。感情よりも論理的な議論を好む傾向があります。
ドライバー (Driver)
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- 感覚主義者で、目標達成や成果を重視します。
- ダイレクトで自己主張が強く、リーダーシップの特徴を持っています。目標を達成するためには、積極的な行動を起こし、周囲の人々を鼓舞します。
- 効率性と結果が重要視されるため、感情的な要素よりも行動計画や成果に焦点を当てます。
あの人が苦手となる理由は?それぞれのタイプの相性
ソーシャルスタイル理論を当てはめると相性がよくないタイプの組み合わせも出てきます。
エクスプレッシブとアナリティカル
エクスプレッシブは感情的で行動的であり、一方でアナリティカルは冷静で論理的です。これらの2つのタイプは、コミュニケーションのスタイルや価値観において対照的な特性を持っているため、相性が悪いと感じることがあります。エクスプレッシブは感情を優先し、アナリティカルは事実やデータを優先する傾向があるため、意思決定やコミュニケーションでの摩擦が生じる可能性があります。
エミアブルとドライバー
エミアブルは対人関係を重視し、協力的であり、一方でドライバーは目標達成や成果を重視する傾向があります。エミアブルは衝突を避ける傾向があり、ドライバーは問題解決や成果のために積極的な行動を起こすため、価値観や目標の違いが相性の問題となる可能性があります。
これらの組み合わせはあくまでも傾向であり、状況によって異なります。大切なことは異なるタイプとの相性を理解することと相手の特性を尊重しながらコミュニケーションを取ることです。
この人とならプロジェクトがうまく進む!相性の良いタイプは?
相性が悪いタイプがある一方、相性が良いタイプ同士というのも存在します。それがエクスプレッシブタイプとエミアブルタイプ、アナリティカルタイプとドライバータイプです。
エクスプレッシブとエミアブル
エクスプレッシブは感情的で行動的であり、エミアブルは対人関係を重視し、協力的です。この組み合わせでは、エクスプレッシブの活発さとエミアブルの優しさが相互補完され、コミュニケーションが円滑になることがあります。エネルギッシュな行動と穏やかな接し方の組み合わせが、協力的な関係を築くのに役立ちます。
アナリティカルとドライバー
アナリティカルは冷静で論理的であり、ドライバーは目標達成に積極的です。この組み合わせでは、アナリティカルの合理性とドライバーの決断力が相互に補完し合います。アナリティカルがデータや事実を提供し、ドライバーがそれを活用して目標を達成することができます。
ソーシャルスタイル理論の活用方法
ソーシャルスタイル理論の活用方法は多岐にわたります。個人や組織は、診断結果を活用してさまざまな分野で改善を図ることができます。
例えば、リーダーシップの向上やチームビルディング、コミュニケーションスキルの強化などがあります。リーダーは自身のソーシャルスタイルを理解することで、部下との関係を改善し、チームのモチベーションを高めることができます。
また、チーム内のメンバーは、お互いのソーシャルスタイルを理解することで、コミュニケーションの円滑化や問題解決の効率化が図れます。
さらに、教育やカウンセリングの分野でもソーシャルスタイル診断は活用されており、個々の学習スタイルやニーズに合わせたアプローチを提供するための手段として役立っています。
ソーシャルスタイル理論のメリット
ソーシャルスタイル理論は、多くの利点をもたらします。まず第一に、自己認識の向上が挙げられます。診断を受けることで、自身の傾向や行動パターンについて客観的な視点を得ることができます。これにより、自己理解が深まり、自己成長の機会が生まれます。
また、他者との関係改善にも役立ちます。ソーシャルスタイルを理解することで、他者の行動や反応に対する理解が深まり、コミュニケーションの誤解や対立を減らすことができます。
さらに、チームや組織全体のパフォーマンス向上にも寄与します。ソーシャルスタイル理論を通じて、チームメンバーの個々の特性や強みを把握し、それを活かした効果的なチームビルディングが可能となります。
ソーシャルスタイルは役割によって変化する
人は、下記のように複数の顔を持ちます。
人が持つ複数の顔
会社員としての顔
親としての顔
夫(妻)としての顔
友人としての顔
部下としての顔
上司としての顔
このように、一人の人間でも様々な顔を持っています。
人間はこれらの中で自分のソーシャルスタイルを無意識に使い分けています。
例えば、家では威張り散らすけど、会社ではおとなしいとか。
なので、この人はエミアブルタイプと思っていても、家庭ではドライビングタイプということもありえます。
まとめ
ソーシャルスタイル理論はコミュニケーションを円滑に進めるのに非常に役に立ちます。個人や組織が自己を理解し、他者との関係を改善することは、個人の成長だけでなく、組織や社会全体の健全性にも大きく貢献します。
持続的な成長と学習を通じて、人々は自己のソーシャルスタイルをより効果的に活用し、より良い関係や成果を生み出すことができるでしょう。
ソーシャルスタイル理論をもっと学ぶ
ソーシャルスタイル理論を学ぶのであれば関連書籍を読むのが一番オススメです。
リクルートで活躍し、5,000人を超えるビジネスマンのキャリアコーチをしている斎藤由美子さんの著書「ソーシャルスタイル理論でわかった!10万人のデータから導き出した 上司へのすごい伝え方」です。
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